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プロフィール

HN:
なば
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性別:
非公開
趣味:
読書・ふらりとどこかに行く
自己紹介:
絵を書いたり文を書いたり時々写真を撮ったり。
コーヒーとペンギンと飛行機が好き。
twitter=nabacco

三国志大戦関係
メインデッキは野戦桃独尊、独尊ワラ。君主名はなばーる。
MGS関係
白雷電が大好きです。以上。
その他
航空関係のプロジェクトXな話が好物です。

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World Alone 4.5

注意書き
 
■短いよ!
■公式は『MGRR』ですがこちらはお蔵入りになった「MGSR」時間軸想定です。
■雷電一人だと話が進めないので創作人物が出てきます。ご注意下さい。

そんな調子の話でも宜しければ、「つづきはこちら」からどうぞ。






 ガレージに戻った頃には、どうにか雷電の意識ははっきりしてきたし、麻酔も切れて体の自由が利いてきた。
 ネット通話をしていて、自分が助けるべき人物の資料を貰った所で邪魔が入った。邪魔する奴が更に自分に対して殺意を抱いてる様なので、返り討ちにしてやった。
 それでは電話を掛け直そう、と言う段階である。フーが発電機で一応の電源を確保した。
 パソコンを再度立ち上げ、挿したままのUSBメモリの中身を確認した。その後、キーボードだけでオーサンが何やら操作して、イヤホンマイクのマイク端子だけを挿して通話を再開した。
<おい! 何故いきなり切るんだ! 何があったんだ! この音は何だ! うるさいぞ!>
 発電機の雑音に負けまいとするかの様に、途中からカレントの声が怒号に変わっていった。
「襲われていました。三人がかりで殺したんです、ノー、壊したんです。三人とも無事です。それは発電機です」
 マイクを握り、まずオーサンが答えた。その後マイクを雷電とフーに向けて差し出した。
<負傷は?>
「雷電が被弾。調子が悪い様だが詳細は不明。ナマモノ二人は無傷だ」
 今度はフーが答えた。
<雷電、損傷具合と変化を報告してくれ。何よりも重要だ>
「そっちにはサイボーグのメディカルスタッフでも居るのか」
<早く>
「……麻酔弾を打たれた。それに、追手が現れた。追手は俺をなるべく無傷な状態でお持ち帰りしたい様だ。麻酔は多分人工筋肉と感覚神経にしか効かない。戦った後ぼんやりしたけれど、脳に影響を及ぼすとは……出来れば、そうじゃないと思いたい」
<雷電の状態が気になるが、……話を元に戻そう。そしてさっさとそこから出発するんだ。データの転送は完了しているだろうな? 救出が完了したら一報入れてくれれば引き渡し場所について連絡しよう。フィランソロピーにはこちらから説明する>
【それには及ばない】
 突然割って入ってきた第三者の声に緊張が走った。新たな敵か、そうでなくてもこの回線は既に敵や追っ手には筒抜けなのか。オーサンとフーはそう思った。カレントもきっとそう思っただろう。だが雷電はこの声に聞き覚えがあった。
「……オタコン……か?」
 知らない内に声が震えた。あの貧弱眼鏡が生き延びていてこの話をどこかで聞いている。二年前の事件の時もそうだった。だからきっと、彼の隣にはあの男が居る。
「スネーク、喋らないでくれ! 頼むから! 俺はあんたと話が出来ない!」
 相手が誰か推測がついた次の瞬間、雷電はマイクをむしり取り他の誰が何を言い出すよりも早く叫んだ。嬉しさの裏に恐怖があった。急に取り乱した雷電を落ち着かせようと、マイク諸共腕を引っ張られたフーが一緒にパソコンの前から離れた。
<おいフィランソロピー。どういう事だ>
【……カレントさん、回線を辿ってごめん。一々彼等と調整するのも骨が折れるだろうから、救出作戦については僕等と彼等で直接話をしたい。雷電から、僕等から、双方の依頼でもあるから】
<お前はフィランソロピーのハッカーの方か……>
【ハッカー……、まあ、そうだね。デジタル担当だ】
「ああ。フィランソロピーさんはじめまして、パズルです。雷電は今仲間外れにしています」
【え? 彼が居なきゃ話にならないんだけど……】
「えーと、本当の仲間外れはしません、絶対。ここに置いて行ったりとかしません、誓います。ええーと、いきなり変になって、だから落ち着かせているだけです」
 そう、とフィランソロピーが相槌を打ち、誰も喋らない時間がしばらくあった。
【……雷電、君の要望通りスネークには席を外して貰った。安心して話を聞いて欲しい】
「らいでぇーん、聞こえたー?」
 フーもオーサンも心理学者や精神科の医者ではないから、雷電の要望通りにしてやる事しか出来なかった。とりあえず電話の向こうのスネークさんを会議から外して貰う今年か出来なかったが、本当に外して貰ったのか黙って聞きに徹して貰っただけなのかすら解らないが。
「まずまずは、お話ししましょう。……やりたい事出来ない良いのは無いでしょ?」
 そうだ、と雷電は思い直す。俺は過去二年間、やりたい事すら無かった。自由も無かった。けれども今は一応の自由を得ている。
 付き添っていたフーにはもう大丈夫だと告げた。オーサンは陣取っていたパソコンの真ん前から退き、身振りでせき立てている。
「久しぶりだな……オタコン……」
【スネークも僕も元気だよ、ジャック】
「その名はいい。雷電と呼んでくれ」
【……解った、雷電。それじゃあ、君と僕らの作戦について話し合おう】
「本当にスネークは居ないんだな?」
【もちろん君の要望通りにしたよ。あんな悲鳴を上げられたら誰だってそうするよ】
 そんなに酷かっただろうかと思うと何だか苦笑がこみ上げてきた。自分はまだまだ若造どころか、幼くあるのだろう。意思の自由も体の自由も無い。なるほど、酷い物だ。
【――けれども君は、君自身の意思で戦う事を選んだ。そして僕らの共同戦線にも乗ってくれた。ありがとう……雷電】
 苦笑かため息が向こうに聞こえたのか、オタコンがフォローらしい事を言った。
「で、資料は全部用意したと聞いたんだが?」
【地図や書類のデータは一般的な画像ファイルにしたから、どんなパソコンでも、携帯電話でも開けるはずだ】
 雷電はオーサンに頼んでパソコンを操作して貰い、USBメモリのフォルダを再度開いた。データの形式を示す部分を全てチェック出来る様にして、まずは拡張子の形式が統一されている事とそれぞれのデータの容量を見た。
「……俺でも開けるな」
 施設で貰っていた電子資料と同じ形式だったから、素直な感想が言えた。
【いくらサイボーグ処理をされてしまっても、そんな風に自分を家電か何かみたいに言うもんじゃ無いよ?】
 今の君がどんな姿なのかは見えないし知らないけれどと、柔らかい声がたしなめた。
「なあ、訊いて良いか?」
「何だ?」
 電子機器には疎いはずのフーが割り込んできた。
「お前さん自身にこれ、このパソコンに差してる奴、差せるのか? こんなのってオーダーメイド出来ない物だろ?」
 今度はオーサンと雷電が揃って間抜け声を出した。雷電にパソコンと同じUSB2.0に対応したハブは付いていない。
 結局、施設から脱走する時に使った地図データが入っていた小指の爪ほどの大きさのチップしか使えない事が一時間近くかかって解り、ついでにそれにデータを移せるという幸運が重なった。この間、フーはデータをプリントアウトする事を提案し続けていたが、紙を消費せずに済む結果となったのも有り難かった。

 オーサンが「長期休養の為休業致します」と書かれた大きなトタン板をシャッターの前と事務所に通じるドアの前に置いた。何度かガレージと看板を行き来して煉瓦や縄で看板が飛ばないように固定してようやく、ガレージのシャッター脇の通用口のドアを閉じ、鍵を掛けた。
「店長、いい加減に留守番電話買いましょうよ!」
「どうせお馴染みさんからしか電話は来ねぇんだ。これで良いんだよ」
 オーサンから受け取った鍵の束を差し込み、行こう、とフーが言った。ナビ役のオーサンはヘルメットを被ってエンジンの掛かったバイクに跨り、後続のミニを待っている。
「頼む」
「応」
 車のエンジンが掛かり、冷えた自分を暖め直す為ぶつぶつと呟いている。サイドブレーキが、ギアが操作され、ミニが発進するより早くバイクが動き出した。


■後書きというか雑記というか言い訳でございます。
ここまで書いてきた物は2013年頃にあれこれ考えたプロットやその後の修正案を元に書きました。何が現在においてしんどかったかというと、お話を書くと言うより今回は2年ほど前の自分が何を書きたかったのかを思い出し、サルベージする作業だっただけみたいな物だと言う事です。思い出して再現しないと、当時の物にならない気がしました。
■どれだけ物の考えが変わってしまったかというとMGRRの感想で例えるなら、「MGRRはバッドエンドで雷電は何も決める事が出来ないまま、変わらないままという、ある意味MGS2の終わりと同じ」→「MGRRでは雷電はコードネームに頼るのでは無く、自分自身の名前と意思で戦場に立ち、戦う事を決定し、一殺多生をガチ標榜するダークヒーローに生まれ変わった」、と、変わる位です。マジで別人です。
■また、前回うpしたものの補足みたいな、本来は前回のお話についていなければいけない物だった、という事でナンバリングを進めていません。
■世の中がMGSTPP発売で沸いているようで、このような僻地サイトにいらっしゃってくださる方、ここまで読んでくださる方々に感謝感謝です。

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