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その赤の名は ショウエン編「心宿三星・大火」

注意書き

SR魏延が結構粗暴な性格の女の子な小説の連作集です。
「魏延死後にショウエンが届かないと知りつつも魏延宛の手紙を書いている」的な話です。
初出は2011/10/30発行の冊子版「その赤の名は」です。


以上の事を踏まえて、ご了承いただける方のみ「つづきはこちら」からどうぞ。
フォントサイズが大きくなります。

 後世、これが残るのかどうかは解らないが、まずは私の自己満足として、書けるだけの事を書きたいと思う。


 はじめに、君の胸の内を少しだけ晴らすような事を伝えたい。
 中軍師の任を解かれて平民に落ちて地方に流された楊君が、また誹謗だか愚痴だかを言ったかどで自害に追い込まれたのだ。
 私は、彼はとても良く働いてくれる、口は悪いけれどまあ良い人間だと思っていたが、どうやら彼自身は自分の舌を過信する余り、制しきれなかったようだ。
 軍議の真っ最中に抜き身の剣を突きつけて彼を泣かせたとか、色々な確執を彼と持っていた君が、生きていてこれを聞けたならどんな顔をするだろうかと思うと、ほんの少し興味がある。


 それはさておき、せめてもの詫びとして小さいながらも君の墓を建て、時折参るようにしている。君は馬鹿げていると嗤うかも知れないが、墓を作ろうと思い立った時から私の自己満足に過ぎないと言うことは承知している。
 誰の墓かと訊かれることがあるが、古い友人の物だとだけ、いつも答えていることにしている。
 本当なら、丈夫で風雨に良く耐える大きな岩に君の成した事を深く鋭く刻みつけ、千年後の世まで伝えてやりたい気持ちで一杯なのに、図らずも反逆者の烙印を押しつけられてしまった君を讃えるような内容の碑を今の蜀漢に建てる事は難しかったので、こんな小さな墓で、誠に、本当に申し訳なく思っている。
 太古から様々な名君・愚帝が壮大な墓を遺した。しかし、今はその所在さえ解らないと言うのに、君の小さな墓と私が書いているこの書簡は、出す宛のない詫びの手紙は果たして遺るだろうか、伝わるだろうか。途切れたとしても、誰かに見つけて貰えるだろうか。
 君の最期がどれだけ惨めで絶望的だったと言う事に比べれば、自分のやっている事は些末すぎて釣り合いが合わないと承知している。君の事が、皆が皆、そして当時の私も、夜空にあって気ままに動く大火や、夏の南空に不気味に輝く心宿三星のように恐ろしく感じられてならなかったのだ。たったそれだけの、根拠のない臆病な理由で君を殺したのだ。
 しかし一言だけでも、どうか私の自己満足の言葉を吐かせて欲しい。
 今蜀漢がこうして生き存えているのは、君が文字通り体を張って戦い、その果てに死んだ結果だと。君を反逆者に仕立て、文官武官双方を無理矢理丸め込んだ我々を許して欲しい。


 すまなかった。そして、ありがとう。


後書き
やっぱり後書き。魏延とショウエンについて色々調べていたら詫び状が出ただの何だの、真偽も定かでないニュースが出たんですが、剛槍伝授的に考えて二人が絡む話は一個でも書いてみようかなと思い、書いた次第でした。

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